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市駅前通りの現状と可能性:市駅前通りを「緑と憩いの広場」に(2)

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 和歌山市駅の正面に延びる市駅前通り(市道和歌山市駅前線)は、和歌山市の戦災復興事業により整備された幅員30m、延長270m(市駅前交差点〜舟大工町交差点)の都市計画道路です。両側にそれぞれ幅員6mの歩道が設けられ、中央分離帯には和歌山市の木でもあるクスノキの並木が植えられています。現在は市駅を発着する路線バスが通過し、都市計画上も幹線道路として位置づけられていますが、沿道の商店街も衰退する中で、朝・夕の通勤通学時を除くと歩行者通行量は少なく、自動車交通量もそれほど多くありません。

 2014年8月の髙島屋の撤退により、市駅の集客施設としての機能も低下していました。駅前広場に滞留する人影もまばらであり、難波方面から特急サザンが到着すると、改札を出る人々の多くは足早にそれぞれの目的地へと去っていき、市駅前通りはこのような人々の通過動線の一部となっているに過ぎない状況でした。

 同年秋に市駅まちづくり実行会議の主催により開始された「市駅まちづくりワークショップ」では、これらの厳しい現実とともに、市駅周辺エリアの歴史性を再確認し、戦災復興で整備された市駅前通りや、付近を流れる和歌山城旧外堀の市堀川などの公共空間も貴重な地域資源であることを共有しました。さらに歴史あるまちの玄関口である市駅そのものが、このエリアの最大の資源であることに立ち返り、駅前に続くメインストリートである市駅前通りから変えていくべきという考え方が打ち出されました。車社会の浸透により衰退した中心市街地を再生するためにも、公共交通の結節点である駅前から、歩行者を主体としたまちへの転換を図る必要があり、そのシンボルとして、市駅通りの歩行者空間を拡充しようという発想です。

 しかし、そのような将来像を描くだけでは、車社会の浸透した現状を前に、単なる理想論として受け止められてしまいます。そこで、ワークショップの企画・運営を担ってきた和歌山大学永瀬研究室では、市駅前通りの再生について議論した2015年4月の第3回ワークショップにて、市駅前通りを人々が滞在できる空間に変える試みとして、車道の一部を歩行者天国化(広場化)する社会実験を実施し、その効果を検証してはどうかと提案し、賛同を得ました。

市駅前通りの現状

(参考)市駅まちづくり通信 第4号