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「市駅 “グリーングリーン” プロジェクト」始動:市駅前通りを「緑と憩いの広場」に(4)

  • 市駅まちづくり
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 市駅まちづくり実行会議が中心となって準備を進めてきた「市駅 “グリーングリーン” プロジェクト 〜市駅前通りを緑と憩いの広場にする社会実験〜」は、2015年9月12日(土)と13日(日)の2日間にわたって実施されました。幸いにも当日は晴天に恵まれ、通行止めが開始されると同時に、実行会議メンバーと学生、市民有志、行政職員の手で車道に芝生や木製パレットを敷きつめ、イスやハンモックを並べたピクニックエリアがオープンしました。それまでは「道路に芝生を敷いて人が来るのか?」といった半信半疑の声もありましたが、当日は芝生の上を子どもたちが駆け回り、若者、家族づれから年配の方々までが、飲食や談笑をしながらのんびりと時間を過ごす光景が生まれました。芝生エリアを中心に企画したお茶会や工作体験などのイベント、隣接して設けた出店エリア、関連企画の市堀川クルーズや、同時開催された市駅でのプロジェクションマッピング、ポポロハスマーケットなどの相乗効果もあり、2日間で延べ6千人近い人々が市駅前通りを訪れました(注1)。来場者へのアンケート調査からは、回答者の大半がこのような取り組みを支持する結果が示され、市駅前通りの新たな可能性を提示する社会実験として、予想以上の成果が得られました。

 目に見える結果を示せたことは地域にとっても大きな自信となり、2016年は9月30日(金)〜10月2日(日)の3日間にわたる歩行者天国化を試みることになります(注2)。特に芝生エリアについては夜間・早朝も含め常時開放することを計画し、警察との協議に臨みました。前年に安全に実施できたことから、警察も社会実験への協力姿勢を強め、近畿圏では前例のない終日の歩行者天国化が実現しました。前年に76㎡を確保した芝生エリアは、人工芝も組み合わせることで約1.6倍の124㎡に拡張し、コンパネを用いた簡易的なステージでの音楽イベントや、芝生の上での絵本のライブラリー、キッチンカーやビアガーデンなどの飲食コンテンツも充実させました。芝生エリアの受付ではピクニック用のレジャーシートの貸し出しも行いましたが、自宅からシートとお弁当を持参して訪れる親子も見られるようになりました。さらに同年からは、市駅周辺の店舗や公共施設等で特別なプログラムが体験できる「市駅まちぐるみミュージアム」も関連企画として開催し、まちのさまざまな魅力を発信する取り組みを拡充しました(注3)。

 3年目となる2017年は、社会実験の形は定着しつつも、依然として予算が限られる中で、新たな試みとしてクラウドファンディングを実施し、これにより地域内外に支援者のネットワークを広げることができました。また前年に引き続き終日開放する芝生広場を積極的に活用し、まちなかでの屋外空間での豊かな時間の過ごし方を提示するため、日中のステージプログラム等に加え、朝のヨガ体験や夜のトークイベント、キャンプなど、「24時間使える公共空間の楽しみ方」を発信するさまざまな企画を試みました。来場者アンケートの結果によれば、芝生エリアでの平均滞在時間はそれまでを上回る33分、推定来場者数は延べ9千人となる等、市駅前通りが人々の居場所になり得ることを市民に発信し、実証するという当初の目的はおおむね達成することができたと言えます。

 2015年から2017年までの3回の社会実験の成果を踏まえ、市駅前通りを軸としたまちづくりは、人々が日常的に緑に囲まれて過ごせる、広場や公園のような新たな街路空間として市駅前通りを再生すべく、市と連携しながら、具体的な検討を進める段階へと発展しています。

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2015年の社会実験の様子

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2015年の市堀川クルーズの様子

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2016年の社会実験の様子

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2016年の社会実験での音楽ステージの様子

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2017年の社会実験会場での朝ヨガ体験の様子

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2017年の社会実験会場での「公共空間トークセッション」の様子

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2016年の社会実験会場図

GGPアンケート結果

市駅前通りでの社会実験(2015年〜2017年)の来場者アンケート結果より

注1)社会実験期間中に実施した歩行者の通行量調査を元に推計した。

注2)2016年と2017年の社会実験についても、歩行者の安全性確保と実施エリアの一体性の観点から、市駅付近の区間を除き、市駅前南交差点から船大工町交差点までの北進車線約150mを歩行者天国化した。

注3)2018年までは「市駅まちぐるみミュージアム」の名称で社会実験の関連企画として開催した後、2019年・2020年は(一社)市駅グリーングリーンプロジェクトの地域活性化イベント「市駅・まちなか まちぐるみミュージアム」として開催した。

(参考)市駅まちづくり通信 第5号

(参考)市駅まちづくり通信 第10号

(参考)市駅まちづくり通信 第12号